妊活中、そして妊娠してからも信頼している情報を得ている方が数人します。その中の一人が産婦人科医の宋 美玄(ソン ミヒョン)先生。
先生も35歳で初出産されました。そのときの記録がまとめられ2012年に出版されていますが、今同じ立場になって読んでみました。
【目次】
経験を超える経験
産婦人科医として何千という妊娠・出産を見てこられた先生でも自身のこととなると初めての体験で戸惑われることもあったり、周りの言葉にやきもきしたりされたりする様子は、失礼ながら少し安心する感じがしました。
出産の現場でも古い考えの人はいる、信憑性がない都市伝説的な情報をステレオタイプで言う人など、先生は正しい知識があるから情報をジャッジできるけど一般の初めての妊婦だったら鵜呑みにしてしまうかもしれないやり取りがあること。
高齢出産にまつわる不安要素や対処法、マイナートラブル、働きながらの妊婦生活のことなど、医師ならではの切り口で他にはないおもしろさがありました。出産の事例など、一般人が知り得ることは身内や仲のいい友達の話くらい。知っているようで知らないのが妊娠、出産、子育てのように思います。
出産の方法やそれにまつわる風評や都合のいい勝手なイメージ、母乳育児についてなどいろいろな意見があるけど、少し冷静に考えられるようになれたのもこの本のおかげ。妊娠、出産は本当に人それぞれで比べても意味がない。時代とともにざっくりとした枠はあっても、絶対的な型はないように思えました。型にはまればはまるほど「こうでなければ」と辛くなりそうです。
「百聞は一見にしかず」と言うけど、一見するよりも経験しないとわからないことの方が圧倒的に多くて、色んな人の言葉や言動に一喜一憂しながら、いちいち考えてどうにかやっていくんだろうな。それを少しでも楽しむ余裕があれば、やっていけそうな気がしました。
東尾理子さんとの対談が素晴らしい!
巻末に当時、不妊治療の末に第一子を授かり出産を控えていた東尾理子さんとの対談が掲載されていました。東尾理子さんと言えばつい先日、第3子の妊娠を発表されたばかり!
今みたいに「妊活」や「不妊治療」という言葉が一般的になったのは、東尾さんが不妊治療を公表されて以降に認知されたような印象があります。それまではあまり人には言いにくい(今でもまだ言いやすくはないけど)ことだったと思うし、聞いたこともありませんでした。
東尾さんは不妊治療の経緯や状況をブログで報告されていて、反響も多々あったそうですがご自身では特にタブーに触れたという感じもなく特別感もなかったようです。明るく情報を発信してくださったからこそ、今同じ悩みを持つ人が情報を共有したりSNSで繋がれたりできるようになったんだなと感謝の気持ちが湧いてきました。
今の30代の女性って、ある程度努力をすれば、なんでも結果がついてきている人生を送ってきたのでがんばっても結果が出ないものに対して戸惑いを感じている人が多いと思います(東尾理子)
人生はずっと順風満帆じゃないことにも意味があります。私も妊娠中や産んだ後も。こんなに自分の思い通りにならないもんかと思いました。妊娠・出産よりもさらに育児って、思い通りにならないんだなあって今実感しています。(宋先生)
とても共感するお話でした。何かを努力したり、何を我慢したり、真面目さを引き換えに何を得たりすることに慣れてしまっていて、こんなにも努力もしてるし我慢もしてるのに何故か思うようにいかないって何!?って思ってました。
「わたしよりも不真面目で、暴飲暴食、不摂生な生活をしてるあの人がなんで先に妊娠するのーーー!!!!」ってイラっとしたことがあります。「こうすればああなる」「ああすればこうなる」と言うほど簡単なものではないようでした。
出産・子育てって、それまでに自分が培った何かを捨てないといけないんだ、と漠然と思っていたんです。だけど、違いました。新しい幸せを得ることであって、別に何かを捨てることではないんだとわかったんです。(宋先生)
この言葉、とても響きました。子どもが欲しいと思って妊活をしているにも関わらず、どこかで「子どもを持つには、自分の何かと引き換えにしなくちゃいけない」と失うもののことを考えていたかもしれません。仕事やお金や自分の時間や、そういうものを代償にしないと授からないんだと無意識に思っていたように思います(子どもからしたら大迷惑)
お二人の対談、もっと載せて欲しかった!ボリュームは少ないけど、とても読み応えがあり、勇気づけられるお話でした。特に35歳オーバーの高齢出産を控えている人にお薦めです。やはりこのお話はこの歳だからこそわかる。それはそれで、とても豊かなことなんじゃないのかなって前向きな気持ちになりました。
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妊活がテーマのドラマもはじまる
昨日のYahooニュースにあがっていた記事が目にとまりました。
ドラマのテーマになるくらい「妊活」って広まったんです。
このドラマで「妊活」のイメージが定着してしまうかもしれませんが、注目度が高まって少しでも世の中がいい方向に変わってくれたらいいなぁ。